広島大学の博士課程への合格がきまったとき、父親から電話がきました。
「おじいちゃんがなくなった。」
僕は新幹線にのって福井に帰りました。
雪がふってきました。
火葬され、兄と一緒におじいちゃんの骨をひろったときに、
自分の今までの勉強が間違っていたことに気づきました。
それまで、大学の先生を目指して勉強をがんばってきました。
人が遊んでいるなか、自分はいろいろなものを犠牲にして勉強してきたことに、間違った自信をもっていました。
だけど思ったのです。「どんなに勉強しても、死んだら終わりだな」
いくら知識をためて脳みそにためこんでも、燃えて終わりです。
僕はそのときに、勉強は人に役立ってこそだと思いました。
自分の人生をよくし、そして人のため世界のために役立てない知識であれば、何の価値もありません。
大学の先生を目指し続けることに悩んでいた時期で、それをきっかけに医者を目指すようになりました。
僕は医者になって、どんな医者になりたいとか、こんなふうに人に役立ちたいといつも考えて勉強していました。
本番で失敗して医者にはなれませんでした。
その後は自分で起業して、思いのほか苦労したこともあり、しばらくは自分のことしか考えられませんでした。
今もそうかもしれません。
でも今までよりも少しだけ人生をうまくまわせるようになってきて、こうしてみなさんに向けた情報発信をはじめて、また少しずつですがこのことを考えはじめることができてありがたく思っています。
僕が高校生の頃は、自分が受験に受かるのに必死で、そのことだけしか考えられませんでした。
みなさんもきっと毎日、いろいろなことに迷いながらも勉強をがんばっていると思います。
僕はみんなに少し先の未来の話をさせてもらいたいと思います。
あなたには、あなたのしたことによって周りの人が喜ぶ、感謝する未来が待っています。
今、あなたががんばっている受験勉強の先には、その後の仕事や人生があって、そしてそのときにあなたのしてくれることや今までの努力によって、ほんとにたくさんの人が幸せになったり救われたりします。
形は人それぞれかもしれません。直接お客さんと向き合う人もいるでしょうし、なにか製品をつくってそれが間接的に人々の手に届くかもしれません。
もしかしたら、人が気づきもしないようなことかもしれないし、泥くさい仕事かもしれません。
だけど、どんな仕事でもそれが仕事として成立しているかぎりは、人の役にたち、世界に貢献しています。
今のあなたの努力が、これからする仕事が、ほんとにたくさんの人を助けて、人生をかえて、そして世界をよくするのです。
決して華々しいことでなくてもいいです。僕がこれからできることも若い頃に思ったのとはちがって、ほんとに地味でとるにたらないことかもしれません。でもそういうことのひとつひとつが世界をよくしていくのだと思います。
日々の受験勉強で、目の前のつまらない解説や問題と向き合うことが多いと思います。
合格できるか不安だし、なんの役に立つんだろうと思うこともあると思います。
でも、それがつながっていく未来のことを思い描いてみてください。
そして、遠くの未来だけでなく、今もぜひ身の回りの人によくしてあげてください。
元気に挨拶してみたり、普段より少しやさしく話してあげたり、相談にのってあげたり、
勉強したことを人に教えてあげたり、できることは山ほどあると思います。
小さなことでかまいません。
そういうことの積み重ねがいい人生をつくっていきます。
僕もまだまだ全然できていないので反省しながら、そういう気持ちをもって今の仕事や勉強をがんばったり、今日この瞬間から、身の回りの人に接してみようと思います。
ありがとうございました。
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